○小海町太陽光発電設備の設置等に関する条例
令和5年9月20日条例第20号
小海町太陽光発電設備の設置等に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、当町における太陽光発電設備の設置、維持管理及び廃止に関し必要な事項を定めることにより、災害の防止、豊かな自然環境及び町民の生活環境の保全並びに良好な景観の形成その他の地域環境との調和を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 発電設備 太陽光を電気に変換する設備及びその附属設備であって、土地に自立して設置されるもの(営農型太陽光発電設備を含む。)をいう。
(2) 発電事業 発電設備における発電行為をいう。
(3) 事業者 発電設備を設置する者、発電事業を行う者及びこれらの者との契約により事業の施行を請け負う全ての者をいう。
(4) 事業区域 発電事業を行う一団の土地をいう。
(5) 隣接住民 次に掲げる者をいう。
ア 事業区域に隣接する土地又は建築物の所有者、占有者、管理者及び借用者
イ 事業区域に隣接する居住者(同一の世帯に複数の居住者がいる場合にはその内の代表者1名。以下同じ。)
ウ 事業区域に係る行政区の代表者
(6) 地域住民 次に掲げる者をいう。ただし、前号に掲げる者を除く。
ア 事業区域の境界から水平距離50m以内の区域に存する土地又は建築物の所有者、占有者、管理者及び借用者
イ 事業区域の境界から水平距離50m以内の居住者
ウ 事業区域の境界から水平距離50m以内の区域に係る行政区の代表者
(適用範囲)
第3条 この条例は、合計出力が10キロワット以上の発電設備を用いた発電事業に適用する。
2 前項の規定にかかわらず、合計出力が10キロワット以上50キロワット未満の発電設備を用いた発電事業においては、第10条及び第12条の規定は適用しない。ただし、隣接住民及び地域住民(以下「地域住民等」という。)が説明会の開催又は協定の締結を求めた場合はこの限りでない。
(町の責務)
第4条 町は、この条例の目的を達成するために必要な措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守しなければならない。
2 事業者は、発電事業を実施するときは、次に掲げる費用を確保しなければならない。
(1) 発電設備の設置に要する費用
(2) 発電設備の維持管理に要する費用
(3) 発電設備を撤去するために必要な費用その他事業の廃止に要する費用
3 事業者は、事業区域及びその周辺地域の自然環境、景観、生活環境等(以下「自然環境等」という。)を保全するため必要な措置を講じ、及び事故、公害又は災害(以下「事故等」という。)の防止を図るとともに、地域住民等と良好な関係を保たなければならない。
4 事業者は、発電事業の実施に起因する事故等が発生したとき又は地域住民等との紛争が生じたときは、自己の責任において誠意をもってこれを解決するとともに、再発防止のための措置を講じなければならない。
(禁止区域)
第6条 町長は、町民の生命及び財産の保護、良好な景観形成並びに豊かな自然環境及び町民の生活環境の保全を図るため、発電事業の実施を認めない区域を禁止区域として指定するものとする。ただし、国又は地方公共団体が発電事業を実施する場合は、この限りでない。
2 前項の禁止区域は、次に掲げる区域とする。
(1) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項の規定により指定された保安林
(2) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号ロ及び同法第5条第2項第1号ロに規定する農地の区域(営農型太陽光発電設備は除く。)
(3) 長野県文化財保護条例(昭和50年条例第44号)第4条第1項の規定により指定された長野県宝及び同条例第30条第1項の規定により指定された長野県史跡、長野県名勝若しくは長野県天然記念物の存する区域
(4) 長野県豊かな水資源の保全に関する条例(平成25年条例第11号)第9条第1項、及び第2項の規定による水資源保全地域
(5) 小海町文化財保護条例(昭和41年条例第8号)第4条第1項の規定により指定された小海町指定重要有形文化財及び同条例第31条第1項の規定により指定された小海町指定旧跡、小海町指定名所又は小海町指定自然記念物の存する区域
(6) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める区域
(抑制区域)
第7条 町長は、町民の生命及び財産の保護、良好な景観形成並びに豊かな自然環境及び町民の生活環境の保全を図るため、発電事業の実施について特に配慮が必要と認められる区域を抑制区域として指定し、事業者に対し抑制区域内において発電事業を実施しないよう求めるものとする。
2 前項の抑制区域は、次に掲げる区域とする。
(1) 水防法(昭和24年法律第193号)第14条第1項及び同条第2項の規定により指定された洪水浸水想定区域
(2) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第3号に規定する国定公園及び同条第4号に規定する長野県立自然公園
(3) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第93条に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地
(4) 前条第2項第3号及び第5号の区域内に存する文化財の保存に影響を及ぼすおそれのある区域
(事前協議)
第8条 事業者は、発電事業を実施しようとするときは、あらかじめ事業計画を作成し、町長と協議をしなければならない。
2 町長は、前項の協議があったときは、事業者に対し必要な助言又は指導をすることができる。
(標識の設置)
第9条 事業者は、地域住民等へ事業計画の内容を周知するため、前条の協議が完了した日から起算して30日以内に、規則で定めるところにより、事業区域内の道路等に面した見えやすい場所に標識を設置しなければならない。
(説明会の実施)
第10条 事業者は、発電事業の実施にあたり地域住民等との合意形成を図るため、規則で定めるところにより、地域住民等を対象とした説明会を開催し、その結果を町長に報告しなければならない。
2 事業者は、地域住民等からの質問に対して誠実に回答するとともに、意見等の申出があったときは、事業計画に取り入れるよう努めなければならない。
3 事業者は、説明会の実施後において、地域住民等から再度説明を求められたときは、地域住民等との間で十分な話合いの機会を設けなければならない。
(地域住民等の同意)
第11条 事業者は、規則に定めるところにより、次に掲げる者から同意を得なければならない。
(1) 隣接住民全員
(2) 第2条第5号ウに掲げる行政区の代表者
(3) 第2条第6号アに掲げる者の3分の2以上の者
(4) 第2条第6号イに掲げる者の3分の2以上の者
(5) 第2条第6号ウに掲げる行政区の代表者
2 合計出力が50キロワット未満の発電設備については、前項第3号、第4号及び第5号に掲げる者の同意は要しない。
3 事業者は、第1項の規定による同意を求めるときは、事業区域の地域住民等が同意の有無を判断できる資料又は情報を提供し、当該内容について説明を求められた場合は、可能な限りこれに応じるものとする。
(協定の締結)
第12条 事業者は、事業区域及びその周辺地域の災害の防止及び良好な自然環境等の保全に係る事項等について、事業区域が所在する行政区と協定を締結しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により協定を締結したときは、当該協定に係る書面の写しを町長に提出しなければならない。
3 事業者は、発電設備を第三者に譲渡し、又は貸し付けようとするときは、当該第三者に対し、第1項の規定により締結した協定の効力を承継させなければならない。
(事業実施許可)
第13条 事業者は、第8条第1項の協議が完了した後、規則で定めるところにより、町長の許可を受けなければならない。
2 町長は、次の各号のいずれかに該当するときは、前項の許可をしないものとする。
(1) 第11条第1項の同意が得られていないとき。
(2) 第12条第1項の規定による協定が締結されていないとき。
(3) 事業計画における事項が、規則で定める基準に適合していないとき。
3 町長は、許可を行うにあたり必要がある場合には、あらかじめ小海町自然保護審議会(以下「審議会」という。)に諮問し、その意見を聴くことができる。
(変更の許可等)
第14条 事業者は、前条の許可を受けた事業計画を変更(当該事業を第三者に譲渡する場合を含む。以下同じ。)しようとするときは、あらかじめ町長の許可を受けなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の軽微な変更をしたときは、遅滞なくその旨を町長に届け出なければならない。
3 第8条から前条までの規定は、第1項の許可について準用する。
(着手の届出)
第15条 事業者は、発電設備の設置工事に着手するときは、規則で定めるところにより、あらかじめ町長に届け出なければならない。
(工事完了届出及び検査)
第16条 事業者は、工事の完了後速やかに町長に届出を行うものとし、町長の検査を受けなければならない。
2 町長は、前項の検査を実施し事業計画の内容に適合しているか確認し、適合と認めたときは、その旨を事業者に通知するものとする。
(事業の廃止)
第17条 事業者は、発電事業を廃止したときは、規則で定めるところにより、その旨を町長に届出なければならない。
2 事業者は、発電事業を廃止したときは、速やかに発電設備を撤去しなければならない。
3 事業者は、発電設備を撤去したときは、事業区域を事業着手前の状態に復旧することを原則とし、当該発電設備の撤去に伴い発生した廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)その他関係法令等の規定に基づき適切に処理しなければならない。
(許可の取消し)
第18条 町長は、事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第13条第1項又は第14条第1項の許可を取り消すことができる。
(1) 偽りその他不正な手段により、第13条第1項又は第14条第1項の許可を受けたとき。
(2) 第13条第1項又は第14条第1項の許可に付した条件に違反したとき。
(3) 第13条第1項の許可を受けた日から起算して1年を経過した日までに発電設備の設置工事に着手しなかったとき。
(4) 第14条第1項の変更の許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。
2 町長は、第13条第1項若しくは第14条第1項の許可に付した条件に違反し、又はこれらの許可の内容に適合していない発電事業について、事業者に対し、当該事業の施行の停止を命じ、又は相当の期限を定めて、当該事業の施行に伴う災害の防止若しくは良好な自然環境等の保全のために必要な措置を講ずることを命ずることができる。
(立入調査)
第19条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者の同意を得て職員をして事業区域内に立ち入らせ、必要な調査をさせることができる。
2 事業者は、正当な理由なく前項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
(助言、指導及び改善命令)
第20条 町長は、事業区域及びその周辺地域の災害の防止又は良好な自然環境等の保全のため必要があると認めるときは、事業者に対して必要な助言又は指導をすることができる。
2 町長は、事業者が前項の助言又は指導に対して必要な措置をとらなかったときは、期限を定めて必要な措置を講ずることを命ずることができる。
(勧告)
第21条 町長は、必要に応じ次の各号に該当する者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(1) 第8条第1項の協議をせず又は虚偽の内容で協議を行った者
(2) 第10条の規定による地域住民等への説明に係る措置を講じない者
(3) 第10条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
(4) 第19条第2項の規定による立ち入り調査を正当な理由なく拒み、妨げ、又は忌避した者
(公表)
第22条 町長は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者の氏名又は名称及び住所並びに違反又は勧告の内容を公表するものとする。
(1) 第18条第2項又は第20条第2項の規定による命令に違反したとき。
(2) 前条の規定による勧告に従わないとき。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ公表をされることとなる者に対し、その理由を通知するとともに弁明の機会を与えなければならない。
(国又は県への通知)
第23条 町長は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者の氏名又は名称及び住所並びに違反又は勧告の内容を国又は県へ通知することができる。
(1) 第18条第2項又は第20条第2項の規定による命令に違反したとき。
(2) 第21条の規定による勧告に従わないとき。
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に小海町自然保護条例(平成元年条例第7号)第8条の規定により、届出をしている事業者については、なお従前の例による。