展覧会概要 小海町高原美術館では、同時代の美術を紹介するシリーズ「現代アートシーン」の3回目として、アメリカ西部及び西海岸を含む西部エリアを中心に活動する現代美術作家6名を紹介する展覧会「カレンタリー・ウェスト〜西へ…アメリカの現代美術〜」を開催いたします。 雄大な自然と明るい太陽、独特の風土を有するアメリカ西部エリア。1950年代、抽象表現主義がアメリカの美術として開花し、60年代、ニューヨークが現代美術の中心として日本を含めた世界のアートシーンに影響を及ぼすようになってから半世紀がたとうとしています。多様な展開をみせるアメリカ美術において、ニューヨークのみならず、地方都市、そして西部エリアが重要な美術の拠点として注目されています。「カレンタリー・ウェスト」には西部エリアの同時代の美術と美術の考えが波にのるように西へ西へと進んでいくという意味が含まれています。そこには、西部開拓時代、東部から西へと未知なる大地を目指したフロンティア・スピリットに、アメリカ人の精神性の一端をみるように、新しい美術を探求する作家の意思が込められているのです。 ニューメキシコ州アルバカーキをベースに活動する作家、アンドルー・ジョン・セシルは、鉄の作品を通して、視覚と概念上の境界の流動性を問いかけます。ニューメキシコ大学美術部門の教授、ビル・ギルバートは、場所と環境の関係をベースに活動しています。ミラ・コスタ大学美術部門の教授、ディーン・ラモスは、インスタレーションの作品で、刻々と変化する形と光の様相を研究しています。サンフランシスコをベースに活動する作家、リサ・ソロモンはしばしば、織物を使い、ハードな概念に従って、ソフトな素材を並べていく作品を創り出します。ヒスパニック系作家のロベルト・サラスは、都市や機関のために大規模な公的プロジェクトに取り組んでいます。本展協力者でミラ・コスタ大学美術及び美術史部門の教授、ヨシミ・ハヤシは、広範囲にわたる媒体を用いた作品でしばしば、うつろい、世の中に当たり前にあるものの一面に焦点をあてます。 本展では、6名の作家が小海町に滞在し、美術館の内外の空間を使って、地域とかかわり、様々な表現形態の作品を制作します。アメリカの西へ、そして太平洋を越えて、更に西の日本、ここ小海町で作家の考えに触れ、場所特有の作品をご覧下さい。
Andrew John Cecil アンドルー・ジョン・セシル 「トンカ」 彩色した鋳鉄 432×457×610mm
Bill Gilbert ビル・ギルバート 「グッドホープベイ」 2006年
Dean Ramos ディーン・ラモス 「サスペンション4」 レキサン(ポリカーボネートシート)、単繊維 1,270×3,048×305mm
Lisa Solomon リサ・ソロモン 「シンクロした戦車:ピンクとブラウンの格子柄」 2004年 フェルト、ガラス付ピン
Roberto Salas ロベルト・サラス 「ガブリエリーノ族:賢人の精神」1995年 (場所:サン・ペドロ、カリフォルニア) アクリル壁画 4,572×25,908mm
Yoshimi Hayashi ヨシミ・ハヤシ 「スニップス」 ミクストメディア (インスタレーション)