欧米の絵画
東洋の書と、西洋の絵画が、急接近した時代がありました。1950年代と60年代です。
第二次世界大戦の終結直後、西洋の絵画に新しい動きが起こりました。面で構成された整然とした絵画よりも、芸術創造の根源に立ち返り、その基本要素である線そのものに動きのある絵画を追求する作家が登場してきました。
この頃、日本では、線の表現力を追求する「前衛書」運動が起こっていました。「抽象表現主義」と呼ばれる西洋の作家たちは、それまで眼にしたことのない線の芸術として、日本の書に強い興味をもったのです。
1950年代、欧米で、前衛的な書家が出品する大規模な展覧会が相次ぎました。1953年ニューヨーク近代美術館の「日本の建築と書展」、同年同じくニューヨーク近代美術館で「現代日本書道展」、そして55年には、欧州巡回「現代日本の書・墨の芸術展」がオランダ、スイス、フランス、ドイツ、イタリアで開催されるなど、欧米人の、書への興味の深さを物語っています。
日本の書家たちも西洋のアーティストたちと積極的に交流しました。両者は互いに影響を与え合いながら、それぞれ独自の世界を形成したのです。


菅井汲 「デッサン5」 1958年

ピエール・スーラージュ 「無題」 1964年

サム・フランシス 「空の詩より」 1986年